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2007年4月8日(日)に、門司港レトロの旧門司税関で開催された「北九州国際ビエンナーレ公開シンポジウム 」に行ってきた。愛車250ccのスクーターで向かったが、所要時間の見当ちがいでシンポから40分たったころ到着。九州工業大学の仲間先生のお話から聞くことができた。 よくよく聞いてみると、このビエンナーレは行政主導ではないらしい。それはすごい、と思った。「ビエンナーレ」という言葉の響きから「街ぐるみ、公的支援あり、お祭り」のイメージを持っていたので、それをアートNPOを中心とした組織(にまだなってないかもしれない)がやろうとしていることにまず感動。 *** おもな事業としては、展覧会や映像作品の上映会などのビジュアルアート部門、サウンドインスタレーションやコンサートなどのサウンドアート部門、シンポジウム、世界各地のアーティストの作品をweb上で見ることができるオンラインプロジェクト/ARTONLINE.JP、それにワークショップ。以上が、配られた資料に記載されていた主な事業内容。 僕が今日とらえた特徴をキーワードで並べると、デジタル、大学(生)、とほかでもない門司港レトロ。 福岡市にサイバー大学が設置されるこの時代、僕があまり得意としない、デジタル技術とWeb上のネットワークを駆使した表現のあり方がクローズアップされている。ところで種々の展覧会をはじめ、さまざまな仮設展示の現場で、20代ともすれば30代のアーティストたちが自分の作品展示作業に四苦八苦することをよく目にするようになった。若い人たちに設営の技術を吸収してほしいと願うと同時にいろいろ自分でもどん欲に技術を盗め!と叱咤激励したくなることが多い。一方ですばらしいアイデアをカタチにする若い人もたくさんいるのは確かだ。大学(生)の関わりが単に労働力を提供するだけのスタッフにとどまらずに、枠にとらわれないアイデアを期待される立場で関わられる場があるといいなと思う。そしてそんな場から実際のカタチが立ち上がるような発展まで期待している。 *** 門司港コミュニティの秋武さんが「地元門司港の人たちにとっては売り上げアップ&集客につながることが大事」とおっしゃった。門司港レトロは、90年代初めから行政主導による「北九州ルネッサンス構想」の一環で現在も続いている観光開発の大きな現場であるとのこと。建築出身である僕は素直に古い建築物が再生して活用されていくのを目にするのはうれしい。ただシンポジウム終了後の帰宅前に門司港ホテルからぐるっとふなだまりを一周したとき、目にとまるお店が飲食店と物販のおみやげやさんばかりなのが気になった。もちょっとおもしろい何かを見つけられる気がして歩いていた。 *** そして歩きながら僕はつい前の日に酒の席で福岡での先輩にあたる、美術家のHさんが「北九州や飯塚にあって、福岡にはない」もの、それは「エロス」だと言われていたのを何度も思い返していた。Hさんからそれを聞いたとき、ああそうかもと思ったけど、その都市におけるエロスとは何があてはまるだろう、と聞いた直後から考えていた。 飯塚出身の僕は、高校生まで福岡がずっとあこがれの街だったので、飯塚にあって、福岡にないものがあるという考え方が新鮮だった。そしてそれは陰ではないかと思った。元炭坑の町というだけでうかびあがる暗いイメージ、港として発展したが衰退した経験をもつその歴史、その陰の部分がより陽の部分をうかびあがらせ、ある艶や、なまめかしさを帯びてくる。そういえば福岡はなんとなく表層的な街と思えば思えなくもないな。常に明るいイメージ。なぜだろう。都市の魅力として違和感を感じる部分。なんとなくお笑い芸人が司会をつとめるバラエティー番組を見て、一様のテンポと抑揚で笑わされていると気付く嫌悪感に似ている。陰があるとは、立体的であることともいえるし、奥行きがあるとも言えそうだ。 *** 門司港レトロに少しエロスをふりかけてみたらもちょっとおもしろいお店がおもしろい場所ができてこないだろうか。 バイクにまたがり福岡に向かいはじめた時、左手にたしか「レトロ横町」と大きく書かれた看板を古い商店街の軒に見つけた。商店街の名前もあるだろうに「レトロ横町」とつけざるを得ないその状況。そんな背景もビエンナーレに奥行きを与えるのではないだろうか。 *** シンポジウムに配られた資料の中に、春田佳菜さんというかたの「観光化による地域振興が都市空間とまちづくり活動に及ぼす影響に関する研究」(2005年に発表されたようです)にも観光地としての都市機能が、普段の生活の場と乖離していく状況が指摘されている。門司港レトロにリピーターを確保するためにも、ほかのどの観光地にもない門司港の見せ方(presentation)とその奥行き(歴史や見え方の深さ)が工夫されれば何ん度となく門司港に行きたくなると思う。そして門司港ビエンナーレにはそのきっかけやサンプルが現れてくるのを期待している。ビエンナーレの特徴であるweb上での展開に奥行きが感じられるといいな〜と思う。 そしてもっと自分がおもしろいと思えるような飯塚に(できるものなら)していけるヒントを得るためにも、門司港ビエンナーレの取り組みに注目している。
by akio_tokunaga
| 2007-04-16 11:42
| diary
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